Zero G Pendulum

zero-g-pendulum_l
 

微小重力環境下での3次元単振動軌跡の観察 | 協力:JAXA

 振り子は,支点から糸や棒によって錘をつるし,重力の作用によって一定のリズムを刻むように揺れを繰り返す物体です.その運動パターンは,単振動の運動方程式と同形で表現できます.従って,振り子は重力の作用によって単振動をする物体であると言えます.ブラックバーン振り子と呼ばれる特殊な振り子は,腕を一本の糸ではなくY字の糸とすることで,x方向とy方向の振動周期を変えるという工夫がなされており,これによって,錘の軌跡は異なる周期の単振動を組み合わせた繰り返し曲線を描きます.これが,リサジュー図形です.
 本プロジェクトは,JAXAの協力のもと,パラボリックフライトによって生まれる微小重力環境下で実験を実施しました.ブラックバーン振り子の「異なる周期をもつ単振動の組み合わせ」という運動の性質を維持したまま,通常は重力によって制限されている上下方向にも振り子運動を拡張し,重力から自由になった錘が描く立体的なリサジュー図形を観察することを目的としました.

実装と記録

 微小重力環境において3方向の単振動を実現するために,錘と,ばね定数の非常に小さいゴムを用いた装置を設計しました.このとき,ばね定数を,x,y,z方向毎に変えてやることで「各方向に異なる周期をもつ単振動の組み合わせ」というブラックバーン振り子の性質を,3方向で再現できます.錘には小型のLED光源を埋め込み,本装置の内部に配置したアクションカムで記録を行います.記録した映像は,オフライン処理で適切なフレームを加算合成処理し,擬似的なライトアート動画としました.

zero1zero2  zero
 
—Zero G Pendulum


tweet


関連する論文等
  1. Takuro Osaka, Alberto Boem, John Brumley, Karlos Ishac, Jun Nishida, Takeshi Oozu, Rintaro Takashima, Hikaru Takatori, Tadayuki Tone,”Life in the Space Age: Experiments of Art and Technology in Zero-G”,Als Electronica Festival 2017, Austria, Sep. 2017.